第1章 天使と僕 第1節~察する妹~

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「この羽も目立つので、取った方がいいですね」 気絶してる梨華の前で、昨日の力を応用して、麗は俺の前で羽だけを透明化して見せた。 最初からそれしろよ! 「起きて下さい!」 「うぅーん、羽が……、羽が……、はっ!」 梨華はうなされながらもようやく起き上がった。 「あー、天使!」 「えっ?何の事ですか?」 「ほら、その証拠に羽があるはずだよ!」 「証拠?羽など私には付いていませんが……」 「それに昨日お兄ちゃんの出した声に似てるし……」 「きっと、夢でも見てたんでしょう……。そう、悪い夢でも」 そう上を見上げながら呟く麗に、馬鹿にされたと思ったのか梨華はむきになって反抗する。 「夢とか言ってごまかせられると思ってるの?私を甘く見ないでよ!」 「夢です。現にあなたは寝てましたよね?」 「うう、確かに寝てたけど……。でも、お兄ちゃん見てたよね?」 梨華はそう言って、僕の方を見る。 こんな訳の分からない現象を見ていたと言っていいのだろうか。 それこそ、頭がおかしいと思われそうだ。 梨華には悪いが、見てなかった事にしよう。 「ごめん、お兄ちゃんも気絶してた」 「えぇー!見てなかったの?」 「うん、ごめん」 「やっぱ、嘘ついてるでしょ!妹なんだから分かるよ」 妹おそるべし……。     
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