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「この羽も目立つので、取った方がいいですね」
気絶してる梨華の前で、昨日の力を応用して、麗は俺の前で羽だけを透明化して見せた。
最初からそれしろよ!
「起きて下さい!」
「うぅーん、羽が……、羽が……、はっ!」
梨華はうなされながらもようやく起き上がった。
「あー、天使!」
「えっ?何の事ですか?」
「ほら、その証拠に羽があるはずだよ!」
「証拠?羽など私には付いていませんが……」
「それに昨日お兄ちゃんの出した声に似てるし……」
「きっと、夢でも見てたんでしょう……。そう、悪い夢でも」
そう上を見上げながら呟く麗に、馬鹿にされたと思ったのか梨華はむきになって反抗する。
「夢とか言ってごまかせられると思ってるの?私を甘く見ないでよ!」
「夢です。現にあなたは寝てましたよね?」
「うう、確かに寝てたけど……。でも、お兄ちゃん見てたよね?」
梨華はそう言って、僕の方を見る。
こんな訳の分からない現象を見ていたと言っていいのだろうか。
それこそ、頭がおかしいと思われそうだ。
梨華には悪いが、見てなかった事にしよう。
「ごめん、お兄ちゃんも気絶してた」
「えぇー!見てなかったの?」
「うん、ごめん」
「やっぱ、嘘ついてるでしょ!妹なんだから分かるよ」
妹おそるべし……。
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