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「どうも」
よし、来店目的無事達成。
入ってきたのは濃いグレーのタートルネックを着た青年だ。少し大きめのクラッチバッグがそこらの人とは違うオシャレさを醸し出していると、私は思う。
「エスプレッソください」と耳に心地よい声で彼は注文をした。
「君もブレないよねー」と瀧さんは軽く笑う。
「まあ、はい」と彼もにこやかに返事をした。
一足先に私のカプチーノが出来上がる。白い湯気をたてているそれは、私のテーブルに運ばれてきた。
「ありがとうございます」
さっそくカプチーノをひと口飲む。もちろん息を吹きかけて冷ますのは忘れずに、だ。
うう、やっぱり苦い。まだまだこれに慣れるのには時間がかかりそうだ。
「はい、カオルくんも」
瀧さんはエスプレッソの彼にもカップを運んでいった。
あの彼、カオルっていう名前だったんだ。初めて知った。
目線を白い泡から上げてみると、彼と目が合った。ばつが悪くなってしまい、急いで目線を戻した。
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