クリスマスに奇跡など

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「高校の時にもっと話せばよかった。」 「ほとんど絡まなかったもんね。」 なのに今、こんなカップルみたいなことしてる。 それは口には出さないけど。 ポツポツ、ポツポツ。穏やかな会話に、楽しいな。と思っているうちに、いつのまにか夜は更けていた。 「…私ね、苗字変わったの。」 何故だろう。 ふと横たわった沈黙に、うっかり口をついて出た言葉。 高校の友達の誰にも言っていないのに、無性に高野くんには言いたくなって、 気付けば吐き出していた。 「両親が離婚したんだ。」 こんなこと言われてもどう反応したらいいか、困らせるだけなのに。 「そうなんだ。」 ほら。困らせちゃった。 私のアホ。 大変だったね。とか、無難なことしか言えないもん。 こんなの。 逆の立場だったら私だってそう。 「江上さんは、今幸せ?」 「え?」 高野くんは、私をじっと見ていた。 「…幸せだよ。」 「ほんとに?」 「ほんと。」 戸惑いながら答えると、彼はふわりと笑った。 「ならいいじゃん。離婚しないのが幸せって限らないもんね。」
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