第1章

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「母さん、またそのジャージ着てるの?もういい加減くたくただよ。 新しいの買おうよ。」 「いいの、これはお父さんと私の大切なジャージ。 これを着てるとお父さんに抱き締められてる気がするの。他のじゃだめなの。」 高校の時に初めてのデートの時に着た緑のジャージ 初めて高村くんが来て見せてくれたとき、笑ったのを昨日のことのように思い出す。 まるで体育のジャージだなと思ったんだ。外に着て出るのが恥ずかしかった。 二人で外出するとき、それを着ていれば回りの目を気にすることなく高村くんに触れることができた。 緑のジャージが二人の大事なアイテムになった。 婚姻届を出すときも二人でこのジャージを着ていった。 あのときの私の顔は最悪だったなって思い出す度、笑いが溢れる。 二人で何かするとき、必ず着ていたジャージ。私達の歴史を知っている大事な大事な宝物だ。
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