第1章

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高村くんは本当に家族を大切にしてくれた。 何時も彼の愛を感じていられて、本当に幸せだった。 高村くんのガンが見つかるまでは… 告知を受けたとき、高村くんは少しもうろたえなかった。 「ごめんな、夕貴を守れなくなる。」 「そんなこと言わないで。ずっと私の傍にいるって約束してくれたよね。」 「ごめんな。俺もずっと一緒に居たかった。 けど、病気に勝てる気がしないんだ。だからちゃんと言っておきたい。 俺は今まで本当に幸せだったよ、ありがとう。 俺がいなくなったら…。」 「や、聞きたくない。」 胸にしがみついてイヤイヤしながら泣く私の頭を優しく撫でながら高村くんの腕の中に閉じ込められた。 「この命が続く限り夕貴の傍にいさせて。 病院には入院しない。」 「お願い、治療して 一緒にガンと戦おう。私、何でもするから…」 彼の心臓の音がしっかり聞こえることに少しホットしながら、少しでも長く生きて一緒にいて欲しいとの思いで訴えるけれど…
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