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「それはね。白い塔と一緒で、私たちのご先祖が代々、大切に守ってきた神聖な場所だからだよ」
「神聖な場所?」
「そう、カイルが15歳になったとき、大人になるための儀式を行う神聖な場所なのさ。男の子は誕生日を過ぎて、最初の秋の明るい満月の夜に一人で真名井の滝に入っていかねばならないんだ。想像してごらん。まずそこの滝の水で沐浴し身を清めるんだよ。そうして、静かに集中してカイルの心を自然に預けるんだ。しばらくすると、真名井が語りかけてきてカイルに真名を授けてくれる。それから、真名の名にかけて誓いを立てるんだよ。すると、真名井から剣を授かり、自然の気を与えられて魔法をまとうことができる。そうやって、カイルは一人前の男に生まれ変わることができるんだ。そうして、カイルは真名の名の下に生きていくんだよ」
「おばあちゃん、真名ってなあに?」
「私たちは、真名と仮名の二つの名前を持っているんだよ。仮名はカイルのお父さんとお母さんが付けてくれた名前で生きていくための名さ。真名は真名井からもらう名前でカイルの命の名なんだ」
「命の名?」
「そう命の名さ。命そのものと言ってもいいかもしれないねえ。ちょっと難しいかねえ?」
「ふ~ん。おばあちゃんにも真名があるの?」
「あるともさ」
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