一、プロローグ

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「じゃあ、教えて? おばあちゃんの真名はなんて言うの?」 「カイルや、真名は軽々しく人に教えちゃいけない名なんだよ。真名は命だからねえ。カイルだって、自分の命を誰かにあげたりしないだろ」 「そうだね。僕の命はだれにもやらないや」 「だから、真名は誰にも教えちゃ駄目なんだ。私の真名を知っているのは死んだおじいさんだけだったんだよ。男と女は結婚するときにお互いの命を相手に預けるんだ。夫婦の証として、お互いの真名を交換するんだよ」 「じゃあ、お父さんとお母さんも真名を知ってるの?」 「知ってるともさ。それが結婚するって言うことだからね」 「でも、エクスカリバーはアーサーに真名を教えたんでしょ。どうして?」 「それはね。戦いの中で、お互いに信頼し合う相手に自分の命を預けますという意味で真名を教え合うことがあるんだよ。そうすると、お互いの力が何倍にもなるからね。でも、本当に信頼できる仲間で、一生変わらぬ信頼と友情と、相手のためにどんな危難にも飛び込んでいける勇気と、場合によっては自分の命を犠牲にしても協力を誓い合える仲で無ければ駄目なんだよ」 「そうなんだあ! だからエクスカリバーは自分の真名をアーサーに教えたんだね」 「その通りだよ。良く分かったね」     
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