一、プロローグ

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私たちのご先祖は流浪の民だったんだよ。流浪の民って分かるかい? 流浪というのはねえ。世界を旅すると言うことなんだ。そうして、私たちのご先祖は世界中を旅して歩いていたんだ。そして、ある日、この白い谷やってきたんだ。その時だった。世界中で戦争が起きてしまった。闇の勢力が強くなって、人々は互いに憎み合い、殺し合うようになったのさ。大勢の人が死んでしまった。その騒ぎが、この白い谷にもやってきたのさ。最初は木津付いた大勢の人がやってきた。それで、世界が戦争になって、ヒドいことになっているというのが分かったのさ。そして、とうとう闇の住人達がこの谷にも押し寄せてきたんだ。                 ☆  ☆  ☆ 「ねえねえ、おばあちゃん。闇の者たちって?」 「そうさねえ。闇のもの達は闇に住む者たちなんだよ」 「フ~ン。それで、どんな者たちなの?」 「それはね。2つの世界があるのさ。光の世界と闇の世界と。ここは光の世界で、カイルの周りにも光があふれているだろう。そして、どこか分からないけれども、どこかに光の無い闇の世界があるのさ」 「どこかにって、どこ?」 「それはどこかさ。どこかにあって、でもそれは誰にも分からないんだよ」 「おばあちゃんは闇の世界って見たことあるの?」 「いいや、残念ながらおばあちゃんも見たことは無いねえ。考えてごらん。光の世界は光があるから周りが見えるんだ。夜になると昼間見えていたものが見えなくなるだろう。だから、闇の世界は何も見えない世界なのさ」 「じゃあ、闇の者たちは目が見えないんだね」 「いいや、そうじゃない。眼は見えないけれども感じることが出来るんだ。感じることで世界中のあらゆるものを見ることが出来るのさ」 「感じるって、どういうこと?」 「カイルにも、何かを感じることがあるだろう? ようく考えてごらん」     
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