一、プロローグ

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でも、マーリンは高齢でね。それに戦闘で傷ついてしまったんだ。結界を張ったとはいえ、外の世界は闇のものに支配されて人々が苦しんでいる。その人たちを助けなきゃならない。それにマーリンは自分の限界を知って、先行きが心配になった。そこでマーリンは未来を占って、自分の全霊を注ぎ込んで13本の剣を鍛え上げると、白い塔を築き、円卓を作ってそこに13の椅子を置き、予言を残して死んでいったのさ。                 ☆  ☆  ☆ 「知ってる! ホワイトライダーが現れて闇のものをやっつけてくれるんでしょ」 「そうだよ。でも、予言の言葉はちょっと違うんだ。こうなのさ」                 ☆  ☆  ☆ 『光と闇の調和乱れ、再び闇の力強大ならん時、選ばれし13の月輝き、剣を執りてドラゴンの現れん』                 ☆  ☆  ☆ 「13の月って、ホワイトライダーのことでしょ!」 「そうだよ。でもちょっと違うんだよ。ホワイトライダーというのは、外の世界の人たちが呼んでいる名前で、私たちは『月の子』と呼んでいるのさ。彼らは月の申し子たちで、月の力を己の力に変えて闇に立ち向かってくれるんだよ」 「そうなんだ! でも、月の力って、どうすれば自分の力に出来るのかなあ?」 「それは、残念ながら誰にも分からないんだ。おばあちゃんにもね。彼ら、月の子たちにしか分からなくて、そうして、彼らはそのことについては何も語ってくれなかったからねえ。でもね、もしカイルが月の子になれば、その時にきっと分かると思うよ。もし、わかったらおばあちゃんにも教えておくれでないかい?」     
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