一、プロローグ

7/12

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
マーリンが死んだときに、白い塔全体が目映く光り輝いたんだ。そうして、13本の光が塔から放たれて、その光に乗って13本の剣がゆっくりと飛び去ったんだ。まるで俺の行く先を見届けよ! とでもいう風にね。しかし、剣がどこに行ったのかは誰にも分からなかった。ただ、その中の一本が私たちが住んでいた所の広場に光と共に落ちてきて、大きな石に突き刺さったんだ。それで、それはもう大騒ぎになった。誰もが不思議に思って、でも、誰かが勇者となって世界を救う運命にあるという結論になった。それで、自分こそ世界を救うんだという思いに燃えた大勢の若者達が、みんなで寄ってたかってその剣を引き抜こうとしたけれども誰も果たせなかった。                 ☆  ☆  ☆ 「知ってる! エクスカリバーでしょ。アーサー王の剣だ!」 「そうだよ。でもね。エクスカリバーというのは外の世界での呼び名で、私たちはただ『マーリンの剣』と呼んでいるんだ。エクスカリバーというのは仮の名前で、その剣の本当の名前は誰も知らないんだよ。知っているのはアーサーその人だけなんだ。剣は自らその持ち主を選び、選ばれたものにだけ自分の名前を与えて力となるんだよ」 「ええ? じゃあ、ホワイトライダーになるためには剣に選ばれなければならないの?」 「その通りだよ。幾多の冒険を通して力を身につけ、剣に出会い、剣が自分にふさわしいと認めてくれて、選んでくれた時に初めてホワイトライダーとなれるんだよ」 「剣が選ぶのかあ。誰でもいいって訳じゃあ無いんだね。僕、選んでもらえるかなあ?」 「大丈夫さね。でもそのためには冒険でカイルの力を示さなければならないよ。カイルが力を付けて、たくさんの冒険を切り抜けたときに、剣がお前の前に現れて自分の名前をくれるんだ。カイル、お前だったらおばあちゃんはきっとできると信じているよ」     
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加