「よろしくね」

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その後、山本さんは授業間の休みの度にクラスメイトに机を囲まれていた。皆山本さんに興味津々であったし、山本さんも話好きなようで、和気あいあいとした空気から、既にクラスに馴染んでいることが読み取れた。喜ばしいことではあるけれども、私としては、近くに大勢のクラスメイトがいるのは正直言って落ち着かず、いい迷惑であった。人目に触れる可能性の高い中絵を描く事もはばかられ、教科書をなんとなく眺めながら休み時間を過ごした。 そして放課後になった。ホームルーム後の休憩時間に話したきり山本さんとは話していなかったし、転校初日の目まぐるしい1日をすこました山本さんは私との約束などおそらく忘れてしまったであろうと思い、帰りの支度をしようと立ち上がった。 「山本さん!」 大きな声でかけてきたのはクラスのカースト上位の女の子達であった。
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