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消失
「ほんと、ごめん!」
翌日、大学の授業が終わり、バス停で康平たちと合流した彩菜は開口一番に謝罪の言葉を発した。
「すぐに……すぐに取りに帰って病院に向かうから」
何度も謝る彩菜の姿を見て、康平と優介はいつもの光景に呆れたように笑う。
「まあそれなら俺たちも一緒に付いてってやるよ。別に急いでないし」
「一応……昨日連絡したんだけどな」
わざとらしく目を細める優介を見て、彩菜は「う……」と落ち込んで頭を下げる。
そう。昨日優介から、「サプライズプレゼントよろしく」ってメッセージをもらったはずなのに、肝心のプレゼントを待ってくるのを忘れてしまったのだ。
慌てふためく私を見て、二人は優しく許してくれたものの、おかげで康平にも内緒だったサプライズ計画は思いっきりバレてしまった。
せっかく優介と考えたのに、私のせいで台無しだ……。
到着したバスに項垂れながら乗り込む自分の姿を見て、「そんなに気にしなくていいよ」という優介の優しい言葉が心に染みる。怖がりなところも含めて、よく忘れやすいこの性格もどうにかならないものだろうか……。
「でもよ。柚葉の誕生日プレゼントなら、別に俺にまで内緒にすることないだろ」
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