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カーナは、セミロングの黒髪に、黒い瞳という人間の容姿だが。
髪で隠れてよく見えない耳は尖っていて、実は特異種のエルフだった。
茶髪に碧眼のエルフが主とされている中、変異で生まれたカーナはのけ者に、はされたりせず、他のエルフたち同様に普通に過ごせてはいたのだが。
なんとなく周りを見ると自分とは違う皆にどうももやもやとした感情を隠せないのでこうしてあまり人が寄り付かないところに住むことにしている。
けれど、こんな人気のないところに住んでいる一番の理由は、肩に乗せているハレンだった。
ハレンは、見た目はどこからどう見ても普通のリスだ。
だが、実際は超特異種認定されている、レアの中の超レア動物。
鋼リスなのだ。
鋼リスは見た目は普通のリスと見分けがつかないほど普通のリスなのだが。
敵を見ると普通のリスは逃げる中、鋼リスは戦いを挑む。
そして、鋼の身体になるのだ。
その攻撃の強度は鉄より強い鋼の為かなり強く、肉体の強いオーガのような強靭な魔物でも倒せるほど。
かなり警戒心が強く、本体が強いため中々捕獲が出来ない希少な生物でもあるのだ。
目撃情報はあれど、誰も捕獲したことのない動物なので図鑑にも写真しか乗っておらず、生体を明かしたものはいない。
そんな鋼リスをエルフのカーナは飼っていた。
『カーナ。誰か来そうだよ。南西の10キロ先からの風の匂いに人の匂いが混じってる』
ハレンが鼻をひくつかせながら言った。
いや、言うというのは実際は間違いで、テレパシーでカーナの頭に直接意思を伝達しているのだ。
それは、この二人がそれほどまでに信頼関係を築いているという証でもある。
本来テレパシーはお互いが脳内への侵入を許し、余程の信頼関係を築いていなければできないもの。
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