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つまりは、ハレンとカーナの間には切っても切れない絆が確かにあるのだ。
カーナは腰の右側に下げている2本の細身の刀にそっと手を添えた。
エルフは魔法が得意で物理は苦手。
そんな中で、カーナは魔法は一応得意ではあるが、物理はもっと得意でその中でもお気に入りの戦法が双剣。
カーナの双剣と魔法のコンボを食らったものは、勇者でも敵わないことがあるほどだ。
カーナは傍で羽を休めていた青い鳥を見つけると、ぐっと拳を握り、ぱっと手を開いて鳥と全く同じ青い色の煙を出した。
それはカーナの掌の上で円を描きながらぐるぐると小さく回っていた。
そしてその掌の指先を鳥に照準を合わせ息を吹き掛けた。
カーナの息の風にのり青い煙はふわふわと鳥に向かって飛んでいき、羽を休めていた鳥を包んだ。
鳥は何事かと顔を上げたが、煙が鳥を包んで消えると、首を傾け空へと飛び立った。
カーナはその鳥に向かって声をあげる。
「南西に向かって地面を見ながら十キロ飛んで! その後は自由!」
その声に鳥は一瞬羽をぴくっと震わせ、返事をするように宙で孤を描きカーナの指示通りの方角へと飛び立っていった。
『カーナ。撃たれないかな、あの子。火薬の匂いが混じっている気がするよ』
ハレンが鼻をひくつかせながら心配そうに言った。
火薬の匂いを纏わせる人はほぼ危険人物だとハレンは知っている。
人は、残虐で、貪欲で、邪悪の塊だと。
ハレンは、よく知っている。
「大丈夫。防御の魔法を纏わせてるから、数十発ぐらいは跳ね返せるわ」
マシンガンも跳ね返せる私の魔法って素敵! と言わんばかりに鼻高々なカーナにハレンは表情のわかりにくい可愛らしい顔を緩ませる。
『うん、さすがカーナだね』
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