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「ハレン、力まない。尻尾が鋼だよ」
カーナの言葉にハレンはハッと息を飲み、慌てて尻尾を元の触り心地の良さそうなふわふわ尻尾に戻した。
『ごめんよ、カーナ。どうしても、盗賊って言葉だけで僕は反応してしまう』
シュンと顔を落とし、ハレンは見るからに落ち込んだ。
「仕方ないよ。私だって嫌いなんだから」
カーナは微笑みながら項垂れる小さな頭を撫でた。
そしてちらりと目の前の鳥の視覚を見、人影らしいものが数人見えたところで魔法を解いた。
「間違いなくこちらに向かってきてる。ハレン、貴方は隠れていてね」
『遠慮なくそうさせてもらうよ』
カーナの言葉にハレンはすぐさまそう答え、お互い目を合わせると頷き合い、カーナは地上へと素早く降りて行った。
その様子を見ながら、葉で確実に地上から見えない場所に身を隠したハレンは、少しため息を漏らした。
『ああ。本当に人って嫌いだ』
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