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アンデッド鬼ごっこ
東京都○○区立○○第×小学校。
そこが俺の勤め先だった。
「木場先生、もう、この階には……」
俺は、小柄な50代の無精髭を生やしているがおとなしそうなオヤジと云う風体の男にそう言った。相手は職場の先輩である木場だ。
「あー、どうも、ボク達だけみたいですね」
後からは、かつては生徒や同僚だった「モノ」が、追って来ている。人間だった頃よりも「走る」スピードが遅くなっているのが、せめてもの救いだ。
俺は必死で廊下を走り続ける。
「相手の足は遅いのに、そんなに走って、どうすんですか?」
「いや、でも……」
「ひょっとしたら、ヤツらは、ボク達の体力の無駄使いをするように仕向けてるんじゃないですかねぇ?」
「いや、木場先生、相手はゾンビですよ!」
「ゾンビに見えるモノだから知能が無いってのも、短絡的な判断じゃないですかねぇ?」
一般教室が有るこの棟の2階で、ゾンビ……少なくともゾンビに見えるナニかなっていないのは、俺と、このオッサンだけのようだ。
何故、こんな事態が起きたのかは判らない。ともかく、あっと云う間に、生徒も同僚の教員も「ゾンビ」と化したのだ。
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