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酷い気持ちの悪さへと移ろって行く。
「……っ。(これ、は不味い。吐きそうだ。)」
強烈な吐き気を感じ。自然と口に手を添え、あるのか無いのか
定かではない出口を探してしまう。こんな状況だ、此処が何処かは
知らないが、此処で吐いてしまっても仕方が無い。と言う意識は
私から完全に抜け落ち、『吐くなら外に出なくては。』と。
静かにパニックを引き起こしながら必死に辺りを見渡す。
「!」
目が暗闇に慣れたお陰だろうか。先程は気が付かなかったが、
淡い光を彼方に見付ける事が出来た。
出口。かどうかは分からないが、あの光以外に頼りは無い。
兎も角にも遠くに見えたあの出口らしき光源に近付こう。
そう考えて一歩を踏み出す、と。“パシャリ”等と言う様な
音と共に、何かを蹴ったらしい感触が足先から伝わって来た。
「ヴ?!(な、何だ?!)」
私は漠然と、自分は何も無い空間に居ると思っていた。だが、
この暗闇には物が置いてあるのかも知れない。その事実は驚きで、
口を抑えながらも小さく驚きの声を上げてしまう程だ。
まあ。今のでは呻き声と言った方が良いか……。
じゃない、何かが私の足元にはあるらしいんだ。
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