プロローグ

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 これがもし扉ならドアノブがあるはず。私はそれらしい物が無いかと  手探りで探してみると。“コツン”と何かが手の甲に当たる感触。 「!(これか!)」   気持ちの悪さに急く私は、打つかったノブらしきモノを急いで回し、  押し開いてみる。すると二枚扉だったらしい左側が開き、外へ───  ───扉を出た先は丁字路らしき廊下。  出て来た扉を背に置いては、正面と左右に通路が広がっている。  廊下は今まで居た場所とは違って薄明るく、その光源が何処かと思えば。  天井付近の壁に付いている、窓らしき物から降り注いでいた光。  此処から見上げる限りあれは月明かりだろうか? 「(此処は何処なんだろう? 見覚えも無いし……。  まあ良いか。考え込むのは後にして、今は外に出よう。)」  気持ちの悪さに背を突かれ、出口を探していた理由を思い出す。  此処が建物の中らしいと言うのなら内から外へ。  曲がるより直線で動いた方が良いな。私は左右の通路には目もくれず、  正面の通路を進む事にした。  通路を移動してる最中、外からの光が徐々に弱まって行くのを感じる。  弱った光の代わりに聞こえだしたのは───雨音。  曇り雨。恐らくその所為で月明かりらしき物が遮られ始めたのだろう。     
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