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「(なんてこった。ええい! 何も今降らずともよい物を!)」
また暗闇に包まれる。その思いが込み上げた私は通路を駆け出す。
徐々に暗くなる視界に焦りを覚えながらも、そう長くは無かった
通路。その終わりへと辿り着けた。
通路の終わり。その先には暗闇が両手を広げる真っ暗な空間。
此処まで弱々しくも照らしてくれた光も今はもう無い。
だが幸いな事にも。奥の方には先程と同じく、扉から漏れた
様な光が見えている。
「(今度こそ外への出口か!? ヴ!)」
吐き気を抱えて走ってしまった所為で、気持ちの悪さも最高潮だ。
しかももうすぐ吐き出せると言う思いも感じ。それは勢いを増すばかり。
私は自分の限界を感じては両手で口を抑え。扉らしき光の元へ向け、
最後の走りを行う。近付く光源に大きくなる雨音。間違いなく外の気配。
このまま外へ! そう思ったが、扉まで後一歩の所で“ぐにょり”と
何かを盛大に踏み付け。
「!?(ふぉ!?)」
焦りながら走っていた私は当然バランス等保てるはずも無い。
だが此処で倒れて成るものか! その思いが私に奇跡を起こした。
体勢を崩しながらも一歩を踏み出し、転けそうな体勢を
無理矢理前へと押し出す!
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