プロローグ

5/10
前へ
/291ページ
次へ
「(なんてこった。ええい! 何も今降らずともよい物を!)」  また暗闇に包まれる。その思いが込み上げた私は通路を駆け出す。  徐々に暗くなる視界に焦りを覚えながらも、そう長くは無かった  通路。その終わりへと辿り着けた。  通路の終わり。その先には暗闇が両手を広げる真っ暗な空間。  此処まで弱々しくも照らしてくれた光も今はもう無い。   だが幸いな事にも。奥の方には先程と同じく、扉から漏れた  様な光が見えている。 「(今度こそ外への出口か!? ヴ!)」  吐き気を抱えて走ってしまった所為で、気持ちの悪さも最高潮だ。  しかももうすぐ吐き出せると言う思いも感じ。それは勢いを増すばかり。  私は自分の限界を感じては両手で口を抑え。扉らしき光の元へ向け、  最後の走りを行う。近付く光源に大きくなる雨音。間違いなく外の気配。  このまま外へ! そう思ったが、扉まで後一歩の所で“ぐにょり”と  何かを盛大に踏み付け。 「!?(ふぉ!?)」  焦りながら走っていた私は当然バランス等保てるはずも無い。  だが此処で倒れて成るものか! その思いが私に奇跡を起こした。  体勢を崩しながらも一歩を踏み出し、転けそうな体勢を  無理矢理前へと押し出す!     
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加