プロローグ

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 雨が降り注ぐ空から視線を下ろすと。目の前には鬱蒼(うっそう)とした森が  視界に広がる。 「森? 何故森?」  森も気にはなるが、自分が今さっき出て来た建物も気になる。  其処で私は後ろへと振り返ってみる事に。 「……おおう?」  自分が出て来たらしい二枚扉はタックルの勢いのお陰か、  自動開閉の如くピッタリと閉まっていた。奇跡は此方に行ったらしいな。  扉から意識を外し、建物全体を見る為に数歩程後ろに下がれば、成る程。  これはまた……。 「ギリシャとかに在りそうな遺跡? いや、神殿か?」  森の中にひっそりと建てられたような小さな神殿。年代物の様で、  そこかしこの柱には(つた)やひび割れ等が見て取れる。  中を歩いて感じた限り、そこそこな建物だとは思っていたが……。  まさか神殿だったとはな。 「何故私はこんな所に……?」  知らない場所に建物。それらは疑問と成って押し寄せ、  私の不安を煽っては呟かせる。疑問は不安を更に煽り。  “何故私は此処に居たのか?” “此処が一体何処なのか?”  それらを思い出さなくてはと、私に強く思いを抱かせる。  一度吐いたお陰か気持ちの悪さも収まっており、頭も  もうぼんやりとはしてない。今なら考え事も出来そうだ。     
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