プロローグ

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プロローグ

 ───ひんやりとした感触を頬に感じ、男の意識が覚醒する。  ふと気が付けば。心地よい冷たさを頬に感じる。感触から思うに、  どうやら自分は床に倒れて居るらしい。何故僕は床なんかに  倒れているんだ? 理由を思い出そうと試みるけど、寝起きで頭が  ぼんやりとしている所為か上手く思い出せない。  それでもと少し頑張っては見るけど。 「(……だめだ。)」  意識が記憶を手繰れる程には強く保てない。一旦倒れた理由を  思い出すのは後にして、起き上がって現状を把握した方が早いかな?  そう考え。寝転んで居たらしい自分の上体を起こし、立ち上がって  辺りを見渡す。だけど。 「(これは……困ったね……。)」  立ち上がった体勢のままで固まってしまう。いや、固まる他無い。  見渡した辺りは暗く。余りの暗さに一瞬、瞼を開け忘れたかと  錯覚する程の暗さだ。  辺りを見渡そうにもこれでは何も見えない。自分の体  ですらよく見えないのだから。さてどうしたものかと棒立ちで居ると。  急に立った所為だろうか、不意に目眩を感じた。僕が目眩を  意識した途端、目眩は酷い立ちくらみの様な。  或いは誰かに頭を掴まれ、遠慮も無しに揺さぶられている様な。     
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