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「……はっ!八雲一族…!俺が……そんな訳が…ないだろうが!」
と、恭一は痛みを堪え、八雲双運を睨み付け言い、八雲双運へ唾を吐きつけた。
そんな恭一に八雲双運は、頬についた唾を拭い、そして恭一を睨み付け。
「そのお前の首筋辺りにある紋章は八雲一族の者の証、俺の首筋にもあるだろう」
そう八雲双運は言い、自らの首筋辺りにある紋章を、恭一に見せた。
恭一は、八雲双運の首筋辺りに視線を移し、確かに恭一の首筋辺りにある紋章と似た紋章があるのが見えた。
八雲双運の紋章を見た恭一は(似ているだけだろう…)そう思いながら。
「それが……何だ…似ているだけだ!……八雲一族の理由がないだろう!」
そう恭一は吐き捨てた。
そんな恭一に八雲双運は言う。
「八雲一族には八雲家を筆頭に幾つかの家名があり、それぞれの家を継ぐモノに家名の紋章を刺青として首筋に入れる習わしになっている。八雲家以外の紋章は八雲家の紋章に似たモノとして、一族の証とすると、俺の祖父が言っていた。まぁ八雲家は曾祖父の時代には衰退したようなモノだが、習わしだけを続けていただけだが」
そう八雲双運は言った後、恭一の胸ぐらを放し、それにより恭一は地面に落ちていた。
そんな恭一を見下ろす八雲双運は更に。
「曾祖父の時代に衰退したようなモノだが…俺は曾祖父の受けた苦渋を受け継ぐ。そして八雲一族に属する他の家名を継ぐ者を探すのも俺の役目である。お前の首筋辺りにある紋章は、八雲一族に属する家名のうちの1つ鏡家の紋章。鏡という姓に聞き覚えがあったが…まさかな…」
そう八雲双運は続けて、恭一をしばらく見据えた後、更に。
「今日のところは助けてやる。その紋章を付けていた事に感謝するんだな」
と言い、八雲双運は立ち去っていった。
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