第5章 因縁と魔の者の新たな動き・其の二

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そんな恭一と崇のやり取りを聞いていた剱崎青龍が。 「鏡くん1つ質問しても宜しいかな?」 と、恭一に真剣な顔で問いかけた。 すると恭一は「ええ。何でしょうか?」と訪ね、これに剱崎青龍が恭一に再び問いかける。 「鏡くんの、その首筋のアザのようなモノについて、鏡くんの御両親に聞いても言葉を濁すと、先ほど鏡くんは言っていましたね?」 「ええ、そうですが…それが何か?」 剱崎青龍の問いかけに、恭一は逆に剱崎青龍に問いかける。 すると剱崎青龍は。 「これは私の推測なので怒らないで聞いて下さい」 そう前置きし、これに恭一は頷き、そして剱崎青龍は更に続け言う。 「恐らく鏡くんと御両親との間に血の繋がりはなく。鏡くんの本当の御両親は別にいる。その本当の御両親は何らかの理由で鏡くんを育てる事ができず、鏡くんを同じ鏡姓の御両親に預けたのではないでしょうか。あるいは本当の御両親が育てる事ができなくて、鏡くんを養護施設に預けた。そして偶然、同じ鏡姓の鏡くんが本当の御両親と思っている御両親が養護施設へと、やって来て鏡くんをもらい受け、養子縁組をした。この辺りは戸籍を調べれば分かりますが」 そう剱崎青龍は自分の推測を述べた。 剱崎青龍の推測を聞き、恭一は表情を曇らせて。 「では…俺は、もしかして八雲一族の者だという事ですか?」 そう剱崎青龍に問いかける。 恭一の暗い表情から、自身が、もしかしたら魔の者である八雲双運の同族であるのでは、という事を突き付けられ、恭一の心境を感じ取った剱崎青龍は。 (鏡くんの心境を思えば…これほどに辛く悲しいモノはないが…。あの鏡くんの首筋の辺りにあるアザのようなモノは明らかに八雲一族の証となる紋章。八雲一族の一家の鏡家のモノの幾重にも重なる雲に朱鷺の家紋である事は間違い) そう思いながら、剱崎青龍は恭一に真剣な顔で。 「鏡くんの心境は辛く悲しいモノという事は分かりますが…その鏡くんの首筋の辺りにあるアザのようなモノは、八雲一族の証の紋章、八雲一族の一家の鏡家の紋章で、幾重にも重なる雲に朱鷺の家紋である事は事実。という事は鏡くんは八雲一族の者であると言えます」 そう恭一に言った。
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