第5章 因縁と魔の者の新たな動き・其の二

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恭一たちが現代に戻った頃、八雲双運は生き残った魔の者の手下、本田保志と吉川雅美を連れて、別の時代へと向かったのであるが、八雲双運らとは別の魔の者が動き始めていた。 その魔の者は、幕末にて亡き者となった魔の者の田之上祐司の遺骸から、抜け出た青石が、新な宿主を見つけ、その宿主を魔の者として単独で動き出した事から、再び幕末の時代を魔の世界へと変えようとしていたのである。 その者の動きに恭一たちより早く気付く者があった。 その者とは無論の事、八雲双運である。 (……何だ。この異様な妖気は他の時代に放った者が魔の者が放つ妖気とは異なるぞ…) と、考える八雲双運、そんな八雲双運に気付き、共にいた本田保志と吉川雅美が顔を見合せる。 そして本田保志が「如何なされましたか八雲様?」と、問いかけるが八雲双運は、別の時代から感じる妖気に集中していて、本田保志の問いかけに反応しないでいた。 八雲双運が反応しないため、本田保志は吉川雅美と顔を見合せ、本田保志が小声で吉川雅美に。 「こうなると八雲様はダメだから、しばらく待とう」 そう言うと吉川雅美も頷き。 「そうね」 と、応じていた。 そんな中、八雲双運はというと、時空を超えて感じる妖気が、どこからなのかを探っていた。 (……この妖気は……まさしくブルーストーンが放つ妖気…しかも妖気を感じる時代は前に奴らに魔の者を殺られた幕末の時代からだ…あの時代にまだ俺がブルーストーンを与えた者がいたのか?) と、八雲双運は考えを巡らすが、八雲双運には心当たりがない。 (しかし、この妖気は…まさしくブルーストーンを持つ者が放つ妖気) そう確信した八雲双運は、本田保志と吉川雅美の方を振り返り。 「向かう時代を変更する」 そう八雲双運が言うと、これに本田保志が。 「どの時代に変更なされるのですか?」 と、問いかける。 すると八雲双は即答する。 「お前たちが1度行っている時代の幕末だ」 「何か気になる事でも?」 と、本田保志が更に問いかけた。 すると、八雲双運はニヤリと、不敵な笑みを浮かべ。 「ああ、かなり興味深い」 と、八雲双運は答えたのである。
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