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忙しい一週間も終わり、今日は金曜日である。少しの罪悪感があるが、弘美は帰りにスーパーでビール2本とつまみを買ってマンションに着いた。 「疲れたー」 ついつい一人事がでてしまう。 ソファーにぐったりと座り、ゴクゴクとビールを飲みほす。 日曜日の予定の事で塚越さんに電話しようとバックの中からスマホを取り出した。すると一枚の名刺が一緒に出てきた。 西林遼と書いてある。誰の名刺だろう?こんな名刺貰った記憶がない。もしかしてもう一人の自分、沙也加の仕業だろうか。捨ててしまおう。そう思ってゴミ箱に捨てかけた時だった。 「まったく。弘美ったら何するのよ。大事な名刺を」 沙也加が現れた。 「私の事に気が付いたみたいだから、これからはもっと頻繁に表れないとダメだわ」 沙也加は名刺を手にすると、書いてある電話番号に電話をした。 「もしもし。沙也加よ。覚えている?」 「ああ。沙也加ちゃん。電話を待っていたよ」 「今から会いたいの」 「僕も会いたいけれど、今日は無理なんだ。明日は暇かな?約束の指輪を買いに行こう」 明日か。沙也加は困った。明日まで沙也加でいなくてはいけない。まあいいか。弘美でいたところで何の得する訳でもない。しばらくの間この状態を保とう。沙也加はそう決めると電話をもう一本かけた。しばらく呼び出し音がなった後母親が電話にでた。 「もしもし、弘美?どうしたの急に」 「お母さん、いつも言おう思っていたのだけれど」 「なあに?」 「お母さんのいつものお金の要求のおかげで、私体を売っているの」 「何よ。急に。本当なの?」 「そうよ。これで満足した?」 「その割には毎月くれる金額が少ないじゃない。本当ならもっとくれても良くない?」 「煩いわね。くそババア。もう二度と渡さないわよ」
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