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「嫌よ。そういう事をしたいのなら帰るわ」
「冗談だよ。でもお金を取るのだから少しはいいのじゃない?」
「変態みたいな事は嫌いよ」
「解った。解った」
行為の後、沙也加の心には何とも言えない寂しさが浮かんだ。こんな気持ちは初めてである。
(西林さんに会いたい)
ふとそんな思いが頭をよぎる。まさか自分がこんな気持ちになるなんて。
「私、帰るわ」
沙也加は男より早くホテルを出た。
マンションに着くと、沙也加はもう一度シャワーを浴びて眠りについた。明日は西林さんとのデートである。沙也加は思いの他、わくわくしている自分に驚いた。
翌朝は、まず弘美が目を覚ました。
(あれっ。昨日シャワーを浴びて寝たのだっけ?)
きちんと化粧を落とし、パジャマに着替えてベットで寝ている。
(良かった。きちんとしていたみたい)
弘美が安心した時だった。
(そこをどいてくれない?今日は西林さんとのデートがあるのよ)
頭の中で声がした。
「誰?」
弘美は思わず声をあげた。それと同時に意識が遠のいていくのが解った。
「上手くいったわ。弘美はどいてくれたみたい」
沙也加が一人呟いた。沙也加は手順良く出かける支度を済ませると、西林さんに連絡をした。
「沙也加ちゃん?連絡を待っていたよ。11時に駅前の銅像の前にいてくれる?」
「解ったわ。遅れないでね」
「勿論だよ」
約束の銅像の前で待つと、西林さんはすぐにやってきた。
「沙也加ちゃん、待った?早いね」
なんとなく会いたくて早く来てしまったなんて言えない。
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