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弘美は部屋着からお気に入りのワンピースに着替えた。時計を見るともうすぐ9時になる。塚越さんとの約束は11時。少し早めに出て待ち合わせのカフェで本でも読みながら待っていようと家を出た。
塚越さんは大手の建築会社勤務の設計士をやっている。現在26歳、弘美の2つ年上である。そろそろ結婚を考えてもいい時期かもしれない。
弘美は喫茶店に着くと、持ってきた本を開いた。いつも読む本は外国の小説。サスペンスの本が大好きである。職場でも昼休みは大抵小説を読んでいて、女性同士のお喋りにはなかなか加わる事ができないのが殆どだ。
「待った?いつも早いな。弘美ちゃんは」
「ゆとりを持って行動したいの」
「その方が良いよ。僕も慌てるのは嫌いな性格だ」
「今日はドライブをする約束よね」
「ああ。レンタカーを借りて軽井沢まで行ってみよう」
二人共、都内のマンションで一人暮らしをしているので車を所持していない。駐車場だけでかなりの出費になってしまうからである。
二人は車を借りると爽やかな初夏の陽気が漂う軽井沢に到着した。
旧軽井沢銀座近くの駐車場に車を止め、商店街を散策する。お洒落な店が沢山あって楽しい。美味しそうなレストランを見つけ、そこで昼食をとる事になった。
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