第二章、この町の平和の為に

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 とある日の早朝。あたしはいつもの様に家の前を箒で掃いていた。そこに翼が通りかかった。 「お早うございます」 「あら、おはよう」 それから直ぐ後に息子が慌てながら家から出てきた。 「朝練遅刻しちまうよ! どうして起こしてくれなかったの!」 「言われなかったから。言われれば起こすわよ。自分の寝坊をお母さんのせいにしない! 甘えんな!」 あたしは息子の頭を軽く小突いた。今はそれも虐待になるらしい…… 全く嘆かわしい世の中である。 「あ、翼。お早う」 「お早う、早く部活行こうぜ? 3年の追い出し試合勝つために練習しないと」 「そうだな」 息子と翼は学校に向かって走って行った。 あたしは初めて息子を誇りに思った。
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