第四章 既読無視

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 辰夫が思いっ切り足で恵子の背中を蹴り上げる。それが合図のようになり、4人の行動はエスカレ-トしていき集団リンチとなっていた。若さからくる無謀さは、手加減ということを知らない。しかし、景子が動かなくなると怖くなったのか、谷底に投げて車で逃げた。 死体が発見されたのは、それから1か月後であった。 「ねえ、明後日の休みの日、カラオケに行かない」 美恵からの誘いはちょっと意外だった。美恵と景子は同じ飲食店でアルバイトをしていたが、二人はそれほど親しくなかったからだ。どうせ暇にしているので、景子は申し出を受けることにした。どうせなら、友達も誘おうと言うことになり、それぞれ2人の友達を誘い、6人でカラオケに行くこととなった。  ここで、6人とは、景子と、景子の友人の良枝、高校の先輩の辰夫。美恵と、美恵の友人のまり子とふみである。辰夫だけ、25歳と少し年上であったが、後の5人は19歳から21歳の間に入る。しかし、「友達」と言っても、元々「友達の友達だったりするので、関係性は薄い。遊び仲間といったほうが正確であった。  その後も、6人は週1くらいの間隔でカラオケ店に行き、時にはドライブやハイキングに行くこともあった。毎回、6人が揃うというわけではなく、その都度参加できるメンバ-で遊んでいた。  コミニュケ-ションの手段はスマホのSNSだった。メ-ルと違い、無料だし、スタンプも楽しいから。  6人の中でも景子は少し他のメンバ-違っていた。少しだけ真面目だったといったほうが良いかもしれない。だが、ほんの少しである。景子と良枝は同じ専門学校に通う同級生だった。しかし、良枝は実家が比較的裕福で将来に不安がなかったせいか遊び呆けていても問題なかったのに対して、景子は自分の力で食べていかなくてはならないという意識があったので、学校は割と真面目に行っていた。  
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