第四章 既読無視

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 新しくできた6人と遊ぶのは楽しかったが、次第に誘いが多くなるにつれ、景子は少し鬱陶しく感じるようになっていた。学校の勉強をしている時にも、SNSの連絡がくる。その内容は、 「今、何してる?」 「昨日、〇〇が出ていたテレビ見た?」 「駅前のケ-キ屋に入ったら、ショコラがおいしかったよ」  などなど、どうでもいいものが多かった。前はこうしたやりとり自体が楽しかったのだけれど、一度鬱陶しいと思うと、返事もしたくなくなる。だから、「既読無視」が多くなる。  景子の「既読無視」が増えたことに対して、最初に反応してきたのは良枝だった。学校で会った時に、「最近既読無視多くね-」と言われた。「別に」と答えておいたが、良枝は不満そうであった。それからしばらくして、今度は、辰夫から電話があった。 「お前、最近既読無視ばかりしているんだって」  辰夫は、一応高校の先輩なので敬語を使うようにしていた。 「別に、そんなこともないですけど」 「マリコも言っていたぞ」 「マリコが?」  いつの間にか辰夫とマリコは付き合っていた。マリコが辰夫にチクるとは意外であった。マリコはメンバーの中で一番おとなしかったからだ。 「そうですか、わかりました。注意します」  そう言って、電話を切ったが、不愉快な思いが消えない。景子はすぐにマリコに電話する。幸い、マリコはすぐに電話に出た。 「景子? 何か用? 電話なんて珍しいじゃない」  SNSでのコミュニケ-ションがほとんどで、電話をすることが少ないので、驚かれる。
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