第四章 既読無視

5/5
前へ
/25ページ
次へ
 ふみは、今マクドナルドで、新しい「友人」とポテトを食べながら談笑している。事件のことを知った時、驚きもしたし、景子は可愛そうな目に合ったとは思っているが、それ以上の感慨は思い浮かばない。実は、「既読無視」なんて、みんなしていた。ただ、少しだけ景子が目立っただけ。  それに、もともと関係性の薄い仲間なので、みんながその時々に自分の気分で、自分に合う子と付き合っていた。そして、みんながそれぞれ悪口も言い合っていたりもした。景子とマリコが仲良かったかと思うと、美恵と良枝が喧嘩していたりで。でも、それもしばらくすると、シャッフルされていたりする。その程度の関係性のほうがいいし、何も問題ない。今回の事件は、悪ふざけが過ぎただけだと、ふみは思っている。「既読無視」が発端や原因なのではなくて、他になんか刺激を与えてくれるものがなかったから。ムカつくことなんて、「既読無視」以外にもあった。逆に楽しいことや面白いこともいっぱいあったけれど、遊びには少し飽きていた。 あんな事件が起きると、SNSなどの「仮想世界」と「リアル(現実世界)」がわからなくなった若者たちが起こした犯罪だ、みたいに言われたりするけど、私たちは、いつだってリアルで生きている。目の前でハンバ-グを頬張っている、バカ面のこの「友人」とは、この先どれくらいの間付き合えるのかな。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加