僕はもう気にしていない

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 初恋を憶えているだろうか?  俺は覚えている。  相手は小さな子供の面倒を見てくれていた教会で、修道女見習いをしていた女性だった。  決して美人では無い。だが元気溌剌な笑顔は印象的で子供ながらに惹かれていた。  何より巨乳だった。  ……おう、なんだ? 喧嘩売ってるのか? 幼児とはいえ、いや幼児だからこそおっぱい大好き(照)なのだ!! ……コホン、大人となった今ではいい思い出である……。  さて何でこんなことを思い出しているかというと……。  今木陰に隠れて幼馴染と勇者との蜜月を見ているからである。  晴れた満月の夜。月明かりに照らされ、池のほとりで幼馴染みは勇者と抱き合っている。  その姿に、俺は気づかれない様にため息をつき、そっとその場を離れたのだった。  俺と幼馴染み。はじめは普通の幼馴染だった。  俺が6歳の頃、初恋の女性こと修道女の女性が都に嫁ぎ、初恋が終わった。  その頃からだろうか俺は幼馴染みと一緒に行動する様になった。  野を駆け、食べられないものにもチャレンジする様な平均的な子供だった。  ただ、幼馴染みはその頃から特別だった。  変なものを食べてお腹をこわした俺を、まるで当然の様に聖魔法で癒したり。  魔物が近づくのを察知したり。  子供ながらに普通じゃない理解できた。  男も女も区別のつかなかった幼い俺にとって、そんな幼馴染は「凄いやつ」と憧れの存在だった。  そして何故だか幼馴染も俺の事を「何をしでかすかわからないけど、他人と違う事をやってのける。面白いやつ」と思っていたらしい。
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