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木々のざわめきと水の流れる音、小鳥の鳴き声で目がさめる。
夢でも見ているのだろうと、まだ霞んだ目を擦って辺りを見渡した。
(は......?森...?)
状況が分からず動揺を隠せない。そして、ふと手元を見ると握っていた紙がなくなってることに気付いた。
(もしかして...成功したのか...)
夢でこうなっているのか、本当に成功したか確信に至らないが、ぼっとしていられずすぐに森を進んだ。
しばらく歩くと夢から覚めない事に気付き、無闇に歩いても...と、足を止めて木に寄りかかった。
すると、奥の茂みから何かが近づいてくるのを感じる。警戒しつつそちらを見ていると、茂みの中から兎が飛び出してきた。
「なんだ...兎かよ...驚かすなよな...」
ふう、と溜息をついた。
しかし、兎の様子がどこかおかしい。口元には兎にはあるはずのない大きな牙が生えているのだ。
近くにある枝を持って臨戦態勢になる。
手に持つ枝を見た途端、敵意をむき出しにして飛びかかってきた。
「なっ!?」
兎の尋常じゃないスピードに思わず声をあげた。
反射的に枝を振り回すも兎はその枝を噛み砕き、口についた枝のくずを前足で落とした。
(こいつ...兎にしちゃあ俊敏過ぎないか....)
と考えてる間に兎は飛びかかり、それに反応できずに咄嗟に腕を出してしまい、兎はその鋭い牙で僕の腕を深く噛んだ。
「いってぇ!!!」
猛烈な痛みとともに声をあげ、腕を振り回し噛み付いた兎を振り払う。
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