第1章 社畜、会社やめる。

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木々のざわめきと水の流れる音、小鳥の鳴き声で目がさめる。 夢でも見ているのだろうと、まだ霞んだ目を擦って辺りを見渡した。 (は......?森...?) 状況が分からず動揺を隠せない。そして、ふと手元を見ると握っていた紙がなくなってることに気付いた。 (もしかして...成功したのか...) 夢でこうなっているのか、本当に成功したか確信に至らないが、ぼっとしていられずすぐに森を進んだ。 しばらく歩くと夢から覚めない事に気付き、無闇に歩いても...と、足を止めて木に寄りかかった。 すると、奥の茂みから何かが近づいてくるのを感じる。警戒しつつそちらを見ていると、茂みの中から兎が飛び出してきた。 「なんだ...兎かよ...驚かすなよな...」 ふう、と溜息をついた。 しかし、兎の様子がどこかおかしい。口元には兎にはあるはずのない大きな牙が生えているのだ。 近くにある枝を持って臨戦態勢になる。 手に持つ枝を見た途端、敵意をむき出しにして飛びかかってきた。 「なっ!?」 兎の尋常じゃないスピードに思わず声をあげた。 反射的に枝を振り回すも兎はその枝を噛み砕き、口についた枝のくずを前足で落とした。 (こいつ...兎にしちゃあ俊敏過ぎないか....) と考えてる間に兎は飛びかかり、それに反応できずに咄嗟に腕を出してしまい、兎はその鋭い牙で僕の腕を深く噛んだ。 「いってぇ!!!」 猛烈な痛みとともに声をあげ、腕を振り回し噛み付いた兎を振り払う。
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