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(ついに幻聴まで聞こえてきた)
振り向く気力もなくその場に倒れ込んでいると、声がした茂みの方からとてつもなく強い風が吹き、僕よりひと回りもふた回りも小さな少女が庇うようにして飛び出してくる。
そして、今にも僕を咬み殺そうとしていた兎は遠くへ吹き飛ばされていた。
「え...え......?」
吹き飛んだ兎の体は尖った岩に強くぶつかり、血を流して動かなくなってしまう。
(殺した...のか...?)
(それよりも...)
僕は最後の力を振り絞り、僕を助けた少女の横顔を見上げた。
肩の上まで切られた黒髪。いや、茶色も微かに混じっている。
目の色も焦げ茶色で、奇妙な服装を除けば元の世界の人間と言われても疑う人はいないだろう。
(本当に...異世界に...)
そこで僕の意識はなくなり、そのまま深い眠りについてしまった。
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