第1章 社畜、会社やめる。

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「バイタル取って?」 「はい!心拍数、血圧は安定しています。」 「熱は?」 「38.9、高熱です。」 誰かが僕の側で話している。バイタル?心拍数? どちらも医療用語だ。 病院にいるという事は、やはりあれは夢で僕は倒れて運ばれたのだろうか... 「これはあくまで仮処置だからね。命を繋ぎとめてあるだけ...。 君はもう部屋で休むといい。手術は私がやろう。」 「そんな...! お師匠様、私ももう手術くらい...!」 (無理すんなよ見習い) まだまだ覚めない頭でツッコミを入れる。けれど、この声は確か... 「ティナ、人の命を甘く見るんじゃない。壊すのは簡単でも、それを治すのは至難の業なんだよ。」 「....はい......」 ティナ、と呼ばれる少女が立ち去る足音が聞こえる。 「さて、君も随分とまあ派手にやられたもんだね。もう一眠りしてもらうよ?」 その声と共に額に冷たい手を添えられ、僕はもう一度意識を失った。
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