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(やっぱり... 僕は異世界に来てしまったのか...)
戸惑う僕に少し困った顔をした後、2人は顔を見合わせる。
しばらくして師匠がはっとしたように言った。
「君、ここで手伝って行っておくれよ。 」
「えっ、そんな事でいいんですか...?」
しかし、その提案にティナは気が乗らなかったらしい。
「お師匠様!彼に医療技術は...」
と反論するが、師匠は落ち着いてティナを宥める。
「彼には医療材料や薬剤の買い出しや力仕事をやってもらうだけだよ。 まあ...買い出しに関してはこの森を抜けられればの話だがね?」
その発言に不穏な空気を感じて不安になる。
「あの...いったいどういう意味で...」
「そのままの意味だよ。 と言っても、街までは一本道だから1時間も歩けば着くだろうね。
迷うことは無いと思うが、辺りには数日前に君を襲ったような魔物が湧いている。つまり、君は倒しながら進むんだ。」
「そんな...」
僕は絶望した表情で師匠を見上げた。彼女が言ったのは、住む世界が違う僕にしたら明らかに無茶な話だった。
「大丈夫です。私も同じ事をされましたから。」
(ああ、ティナも被害者か...)
ティナへ哀れみの目を向ける。それに気付いた師匠は
「安心したまえ。君にはこれを貸してやろう。」
と言って布に包まれた何かをくれた。
「えっと...これは...」
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