独り震えて待つ私

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凍える。 真冬の寒さが、心の中にまで突き刺さる。 手のひらに宿るぬくもりは、跡形も無く消え去り、もはや記憶の彼方にしかない。 瞳を閉じ、心の奥底を、深く深く掘り返して、ようやく見つかるもの。 優しかった母の顔。 はぐれぬ様に繋いだ手と手。 そこから離れ、飛び出して、どれほどの刻が過ぎただろう。 考えるだけ馬鹿馬鹿しく、嗤う声が口から漏れた。 忙しなく歩く人々は、やはり、それを拾うことなく通り過ぎて行く。
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