0人が本棚に入れています
本棚に追加
……「私たちを、その星の人たちを助けて」
そう言われる夢を見た。
意識を眠りの中から掬い出すと、タッチ式の機械から優雅な朝とは程遠い忙しない音楽が流れ、その音を耳にしてガバッと起き上がる。
「なんだよ、まだ7時じゃないか」そう愚痴を零す青年の顔は少しだけ窶れて見えた。青年の名は結城。元は大阪の高校に通って居たのだが、1年前に家を追い出される形で上京してきた。
「しっかし……何だったんだ、あれ」結城はもう一度夢の内容を思い出す。今思えば不思議な夢だ。
ブランドの長い髪の女性が出てきて、やれ地球の人たちを助けてだの、やれ私たちを助けてだの言うんだもんなぁ、今となっては全くもってワケガワカラナイ。
まぁいい、夜の居酒屋のバイトに入るまでまだ時間はたんまりある。取り敢えず腹が減ったので適当に何か食べようと俺は思い布団をたたむ。
電子レンジのプラグをコンセントに挿し込み、牛乳を注いでそれをレンジの中に入れる。温め時間は40分。その間フライパンで卵とウィンナーを焼いて皿に盛り付ける。そして一度フライパンを洗って水気を取ってからパンを焼く。トースターは少し高いので買えないのだ………
と、支度を終えたところで温めが終了する。布巾を手のひらに持って熱せられた牛乳を取り、別のマグカップへと移し………これで朝ごはんの完成だ。
「いただきます」誰も居ないワンルームの中そう告げて黙々と朝飯を食べる。携帯のメールやSNSアプリ、トークアプリなどを確認すると何かしらいい情報や友達の近況、そしてニュースや政治の悪い噂、そして起こった事件や犯人の思想に対しての非難や解釈の押し付けなど、いろいろなことが書いてあった。それらを見ているうちにご飯を平らげてしまう。
「…ごちそうさま」つまらない、そうだ、一言で言ってしまえば『とてもつまらない』
最初のコメントを投稿しよう!