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高校の頃は楽しかった、朝の途方も無いほど退屈で内容のないニュースやドラマを見ても楽しかったのだ。
今考えれば当然だ、その頃は家族がいた、学校があった、友達がいた。
でも今は違う。1人でこのアパートに住み、家の近くに友達なんて居ないのだから。一番近いやつでも県を跨がなければ会うことすらできないから、実質東京に友達はいない……それに分かってしまっていた。遠くに行くと疎遠になってしまい、連絡を取ることの方が珍しくなってしまうこと、そして近くにいるからと言ってそれは友達でも何でもないことに。それを知っていたのに知らないフリをし続ける自分がいるのにも辟易していたのだ。こんなになるくらいなら……いっそ出て行かなかった方が良かったかもなぁ。
そう考えていたところでふと我に帰る、ニュース番組に映し出されたその綺麗な風景はたった今まで荒んでいた俺の心を惹きつけるのに十分だったから。しかもその風景がある場所は今住んでいる場所からあまり離れていないようで、その気になれば徒歩でも着くくらいの距離である。
今日のアルバイトまでまだまだ余裕あるな。たまには仕事以外で外に出てみるか。そう思い、俺は身支度を開始した
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