ネグレスコ

パリ、某救命救急センター

「患者二名搬送されました！」
「20才台男性、脈を触れません。自発呼吸なし。心電図フラット、瞳孔反射なし、死亡しています！」
「40才台男性、脈、自発呼吸あります！意識ありません！瞳孔反射あり！右側頭部、右側腹部、右下肢に外傷！」
「よし、二人めを救え！」
「下肢からは動脈性出血、腹部膨満あり。血圧90、脈120、サチュレーション86。ストライダーあり、気道狭窄の可能性あります！」
「まず、挿管、輸血準備！ステロイドとアドレナリン！足を縛って止血！頭部と腹部の緊急ＣＴ！」
「ＣＴモニターできます！右側頭骨骨折、急性硬膜下血腫、腹部に腹水貯留！」
「腹腔穿刺を！」
「血性です！肋骨骨折と肝損傷による腹腔内出血と思われます！」
「よし、緊急オペ！穿頭、硬膜下ドレナージ、緊急開腹、下肢骨折の止血と整復、気管切開だ！」
「どの手術から？」
「三つ同時に！そして最後に気管切開！」