チョウサ

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 当時章之と交際してた神木真帆も、彼に押し切られるような形で参加。百合子や友哉も、多数決で全員もれなく洞窟内に連行されることとなった。  しかし、茜だけは同行することができなかった。当時茜は現地の人たちと意気投合してしまい――ガイドさんと年が近かったため、かなり打ち解けてしまった――、ほかのみんなと別れ、近くの文化財などを観覧していたのだ。  途中、大雨が降り始めた時、茜は美術館の中にいた。前々から見たいと切望していた銅鐸や、錆びついた剣をみ、一人でテンションが上がっていた。  歴史は、とても面白い。掘り出し物は今では想像できない生活を茜に夢見させてくれるから、こういうものを巡るのは大好きだった。歴史探究部に入ったのもそれが起因していた。そのおかげか、中高で、世界史と歴史は百点しか取ったことがない。  大方の展示物を吟味し終えた、そんな時だった。
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