チョウサ

3/26
517人が本棚に入れています
本棚に追加
/493ページ
 雨の中、友哉と真帆が飛び込んできた。  「来てくれ!」  蒼白した顔から、茜は直感的に何かがあったことを悟った。いつもなら涼しい表情の彼が、平常心を保っていられない『何か』が。この時点で茜はあ、これはやばいと漠然と思ったらしい。だからと言って、いつもなら考えられないほどに動揺している二人に、なにがあったかと聞くことは憚られた。茜は、そのままわけもわからぬまま二人の後を追うことしかできなかった。  後で聞くと、真帆は途中で体調不良となり――頭痛という――途中で引き返し、洞窟の前に残ったらしい。その時飛び出してきた友哉と会い、状況を理解。茜も連れてこようという流れとなったらしい。  洞窟は、とても暗かった。友哉や真帆もかなり転んだ。しかし転倒の痛みなど埒外のようだった。ひきつけられているかのように、二人とも奥へ突き進んでいく。それが何とも不気味に映った。  どれだけ歩いただろうか? 曲がった先に、人影が膝を地についているのが確認できた。
/493ページ

最初のコメントを投稿しよう!