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「血の乾き具合から、たぶん殺されてあまり時間は経ってないみたいだった。つまり大村の話の間には殺害されたっぽいね」
「ということは、俺と別れてすぐに……」
亮介がくそが、と低く唸り、ギシリと椅子に体重を乗せ、天へ顔をそらした。
「あの傷って……やっぱり斧だったんすか?」
直秀の質問。幾分か顔色は良くなっているも、声の震えは取れない。
「ええ。あそこまで深く、長い範囲をえぐりとれる凶器は、それしかないですね」
やはり。なんとなくそうだという気はしていた。亮介も、さほど驚いている様子はない。
「榊原に殺されたっちゅーことなんか?」
百合子が怒鳴る。友哉はそれに対して首を振った。
「それはないね。先ほど言った通り、もし榊原が生きていても、すでに百歳過ぎ。あんな殺人できるはずない」
「だったら、だれだよ」
ぽつりとつぶやいた幸人の声に、大広間にいるメンバー全員が注目した。
「誰が殺したんだよ、神木を」
空気が戦慄した。その言葉には、あからさまな部員に対する疑いがあった。数秒、茜たちはたがいに視線を探るように交わしあう。
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