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「まさか幸人、俺らのだれかが神木を殺したと言いたいのか? あんな風に」
亮介が幸人を睨んだ。だが彼は悪びれる様子もなく、ぺらぺらと言葉を紡ぎ続ける。
「だってそうだろう。榊原が殺人を犯すことなんて不可能なら、現にこの館にいる俺らのだれかが殺やったと考えるのが妥当だろ」
「なるほど、犯人は内部にいる。つまりこの中に素知らぬ風を装う殺人者がいるということですか」
浩二は神妙な顔でうなずく。……まるで、傍観者のようなそぶりに、行き場のない憤怒を覚えた。確かに、この状況からして、真帆は自分たちの誰かがやったと説明することが、榊原権蔵イコール犯人と結論付けるよりどれだけ簡単か。
だけど浩二は一瞬のためらいもなく肯定している。つまり、茜たちを信用していないようなスタンスが、茜にとって不愉快だった。
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