被害者

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 さらに、どこか浩二は、真帆が殺されたというのに、他のメンバーより動揺がない。むしろいつも通り落ち着いている。その態度も癪に障った。  「そんなわけないやろ! 私たちは団結しとったやないか。そんなことするわけない。大体動機はなんやというんや?」  キンキン声で百合子は叫んだ。完全に冷静さを失っている様子で、目が血走っている。  「そうだ。大体凶器は? 俺らの荷物の中に、神木を殺せるだけの凶器を隠せるわけないだろう」  亮介が幸人に詰め寄り、ドンと机を腹立たしげについた。ろうそくの燃えカスがぐらりと揺れる。静かに怒る亮介に、幸人はハッと鼻で笑った。  「そんなもの、この館のどこかから調達したんじゃないの?」  「二手に分かれてたんだ、誰かが見つけた時点で他の連中に気付かれるだろう!」  どんどん険悪になっていく二人を、やめろってと強引に止める直秀。
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