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バリケード
≪十時二十分≫
大広間を抜けた木村亮介たちは、大広間からかなり離れている部屋の中に潜伏した。
その部屋は二本の廊下と隣接しており、向かい合うように扉が二つあった。もし片方から狂人が入ってきても、迅速に逃げられるという判断のもとだった。
ある程度走ったところから、完全に金属を伴う足音は消えていた。諦めたのか、それとも他に意図があるのかはわからなかった。しかし、ギリギリではあるものの、六人全員は無事、こうして生き残っている。
最後に狂人に一撃をかました風見友哉も、怪我ひとつなかった。ただかなり走ったらしく、額には汗が光り、何度も遠慮なく酸素を吸入していた。
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