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保育園で汐音がからかわれないように。そう思って、幼いころからイブの夜には枕元にプレゼントを置いてきた。今までだったら、サンタさんにこれを頼むの、って教えてくれたから結構かんたんに用意ができた。
けれど、今年は違った。私が忙しくて話をきく時間がなかったからか、それとも、サンタクロースなんてもう信じていないからか。欲しいものがなんなのか、さっぱり見当がつかないのだ。
どっちなんだろう。
自分はどうだっけと考えてみても、昔のこと過ぎて曖昧で、小学三年生で信じていたかは謎である。それとなく聞くのがいいんだろうけど、家に帰れば夜九時を過ぎている、なんて状況では、早く寝なさいが口癖になって、聞くことがなかった。
忙しくて、毎日はただの日常で、繰り返しで。だから、私にとってクリスマスなんて平日の一日でしかない。十二月二十五日であるという事実くらいの意味しかもたなくなった。
でも、まだ子どもの汐音には、きっと意味のある事のはずなのだ。
ピカピカと輝くクリスマスツリーを見つめてそう考える。
小さなプレゼントボックスがたくさんぶら下がり、丸いオーナメントがツヤツヤとしている。てっぺんには大きなお星さま。
あの子は何が欲しいんだろう。
それすらよくわからない自分に気が付いた。
輝くツリーも、大きなリースも、笑ってぶら下がるサンタクロースも、私に答えは教えてくれなくて、結局、私は何も買わずにショッピングモールを去った。
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