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「どうしたの、すっごく早いね!」
パタパタとこっちにかけてきながら、汐音が笑ってそう言う。
「仕事、早く終わったから」
「そうなんだ!」
ニコニコとして、今度はリビングに戻っていく。その後ろをついていけば、かすかに音がした。リビングで何かが音を出しているらしい。段々と鮮明になっていく。
「次のニュースです」
人の声だ。テレビ?と思ってそっちを見るが、テレビ画面は真っ暗。電源はついていないらしい。それなら……。
「あ、ラジオつけてたの。面白いよ。今はニュースの時間だけど、音楽がいっぱい流れる番組なの」
汐音がひょいとその黒い機械を持ち上げた。確かにそれはラジオだ。片付けることもなくほったらかしにしているもの。朝は、テレビをつけると汐音も私も手が止まってしまうから、ニュースをラジオで流している。
「ふーん、そうなんだ」
「次のニュースです」
朝と同じように、淡々とした声が響いてくる。
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