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大真面目に告げられたサンタクロースのニュース。
バカらしいだとか、子供だましだとか、そんなことだって思えるはずなのに、たくさんのプレゼントを引き下げたおじさんに、そんな言葉を投げかけられない。
サンタクロースを労うこの子にだって、何をバカなことを、なんて言えない。
クリスマスを楽しみにするような自分はもういないけれど、
毎日が一生懸命で、気づいたら十二月、今年ももう終わっちゃう、なんて生活をしている私だけれど、
十二月二十五日なんてただの平日でしかないと思っているし、娘の欲しいものだってわからないけれど、
サンタクロースの幻がとけたって、私はその姿をほほえましく思ってしまう。
不意に気が付いた。
ああ。
私たちは、みんな誰かのこどもなんだ。
心のどこかで、クリスマスが温かいんだ。
「ねえ、汐音」
なあに、とその目が私を見た。
「プレゼントは何をお願いするの?」
繰り返しの日常の中で、ちょっとだけ足をとめられる瞬間は、きっと大切なのだ。
それは小さな特別な日。
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