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私は図書室で、「効率の良い勉強法」という本を読んでいる。ように見せているのだ。実際はその本の間に、「恐怖!学校の七不思議」という本を読んでいる。第一章 トイレの花子さんによると、それをやった人はトイレに引きずり込まれるそうだ。だとしたら…もう…。いや!トイレの花子さんなんているわけないじゃない!何を考えているの私は…。
ゴーンゴーン
6時になると同時に時計の音が鳴る。図書室にはカエルが一匹入り込んでいた。私は今不安で仕方なかった。トイレの花子さんなんているわけないのに、内心は花子さんのせいで皆が消えたんだと思ってしまっていた。だから一匹のカエルだとしても、今は心のよりどころであった。そんな時。
「ーーッ!?」私達のグループのうちの一人、風見楓華がいた。私は我を取り戻した。
「待って!楓華!」そんな声は一切届かず、楓華は図書室から出ていってしまった。私はすぐにその後を追いかけた。
「ねぇ!楓華!…からかってるの?」楓華に私の声は届かない。まるで“私なんていない”かのように。
楓華が東側の階段を上がっていく。この先にあるもと言えば…。私は最悪のエンディングを思いついてしまい、すぐにかき消す。
楓華は3階に上がってすぐにトイレの入り口まで来た。そこでずっと止まっている。胸に握りこぶしを当てて。数十秒後何かを覚悟したのか、トイレに入っていった。その体は少し震えていた。私もトイレに入る。いや体が勝手に動いたのだ。でも私はそんなに気にしていなかった。頭の中が絶望でいっぱいになっていたから。中に入ると楓華は二番目の個室をノックしていた。口を動かしているが何も聞こえない。おそらく「花子さんいらっしゃいますか?」と言っているんだろう。そして三番目の個室。私は体が動かない。楓華は扉を三回ノックする。そして何かを話す。そして楓華が扉を開ける、と中から手が出てきて楓華を引きずり込み扉が閉まってしまった。私はすぐに三番目の個室の扉を開けた。中には誰もいなかった。私は怖くなって逃げ出した。
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